報告・研究 岩石の融解実験(研究中・・・途中報告)
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作成2002年11月 更新2003年9月22日
高校の設備で実験岩石学(?)ができないかと思い立ち、試してみることにしました。高校現場の限界がありますが(あればこそ・・・?)、少しずつ進めてみて、随時報告するつもりです。何かご存じの方、アドバイスよろしくお願いします。
■第2報 カンラン岩の部分融解、火成岩以外の融解など (2003.09.22)
陶芸用電気炉、1250℃数時間
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カンラン岩(ハルツバージャイト) 北海道日高帯・幌満カンラン岩体産 左・・・試料岩石 中・・・実験生成物(破片試料) 右・・・実験生成物(粉末試料) 右の粉末試料は粉末のまま固まっている。このことから若干の融解があった事が分かる。融解物(液)は玄武岩マグマであろう。地球の火成作用において最も基本的なプロセス(カンラン岩の部分融解→玄武岩マグマ生成)が再現できた。 *底に穴を開けた容器に破片試料を入れて液(玄武岩マグマ)の分離を試みたが失敗した。液の量が少なかったか、粘性が大きかったため、穴からしたたり落ちるには至らなかったと推定される。 |
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デイサイト 雲仙普賢岳産 左・・・試料岩石 中・・・実験生成物(岩石ブロック試料) 右・・・実験生成物(粉末試料) 火成岩の中でも融点の低いデイサイトはよく融ける。数cm大のブロックごと熱しても完全に融解した。黒いガラスになり、「人工黒曜石」ができる。長石と石英の斑晶は融け残り、赤と白の斑状模様ができる。 |
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カコウ岩 稲田カコウ岩 左・・・試料岩石 右・・・実験生成物 カコウ岩とデイサイトの化学組成は似ているが、実験生成物は大分異なる。デイサイトと同じく数cm大のブロックを熱したが、融解はごく一部に終わった。半透明白色、液滴状の融解固結物が生じている。加熱時間を多くすれば、完全に融解すると思われる。 |
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砂岩(岩片質の暗色緻密な砂岩) 東京都奥多摩・秩父帯多摩川河畔産 左・・・試料岩石 中・・・実験生成物(破片試料) 右・・・実験生成物(粉末試料) 生成物は茶褐色に変色し、融解が若干進行している。肉眼では砂岩粒子がまだ残っているのが見える。 |
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黒色片岩(細かな片理の発達した泥質黒色片岩) 四国・三波川帯・汗見川河畔産 左・・・試料岩石 右・・・実験生成物(岩石ブロック試料) 生成物は茶褐色に変色し、融解が若干進行している。生成物の色や融解の進行度は砂岩試料と似ている。少量ながら茶褐色、液滴状の融解固結物が生じている。 |
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ほぼ磁鉄鉱からなる海岸砂 千葉県屏風ヶ浦産 左・・・試料 右・・・実験生成物 右の試料は砂のまま固まっていることから、若干の融解があった事が分かる。 |
加熱過程・・・常温から約1250℃まで20時間かけて加熱。約1250℃を2時間保持、その後約1200℃を3時間保持、その後1150℃を1.5時間保持。その後、常温まで48時間かけて冷却。なお加熱過程は焼き物を焼くための温度−時間設定である(工芸科授業に付随して実験を行っているため)。
今回はカンラン岩の部分融解を確認した。これは地球型惑星において最も基本的なマグマプロセスであるが、高校地学においては温度−圧力グラフの説明程度で終わることが多い。今回の実験生成物は演示教材として使えそうである。また砂岩(堆積岩)や泥質片岩(変成岩)など、火成岩以外の岩石が融解することも確認できた。地殻構成物質の再融解は大陸地殻においては大切なマグマプロセスであり、今回の実験生成物は演示教材として使えそうである。
■第1報 工芸用の窯により、とりあえず融解成功(2002.11.21)
焼き物(工芸授業の生徒作品)を焼くときに一緒に入れさせてもらった。試料(5〜10mm大の破片)を素焼き皿に乗せ、約1250℃で数時間加熱、その後1日かけて常温まで冷却。少なくとも代表的な三火山岩(玄武岩、安山岩、デイサイト)は完全融解。カンラン岩も部分融解したらしい。
写真は試料(容器奥側)と実験による生成物
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写真1 デイサイト(雲仙普賢岳) ほぼ完全に融解して、黒いガラス状に固結した。人工黒曜石と言ったものか。長石斑晶が融け残り、赤い斑点模様になっている。 |
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写真2 安山岩(蔵王火山) 完全融解 |
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写真3 玄武岩(三宅島) 完全融解。表面の一部にに金属光沢のもつ微粒子状の被膜ができた。発泡あり。 |
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写真4 カンラン岩(ハルツバージャイト)(北海道日高帯幌満岩体) 表面に赤褐色の皮殻ができた。この皮殻は下の容器(素焼きの皿)に一部固着したこと、角張った試料が若干丸みを帯びたことから、融解生成物と考えられる。カンラン岩の部分融解物(玄武岩マグマ)であろうか。試料内部は黒変して、わずかに緑色の結晶が残っている。 |
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写真5 4の薄片写真(オープンニコル) カンラン石や斜方輝石(?)を交代して一面に不透明物質が生成している。不透明物質の面積比は9割ほど。不透明物質はカンラン石のクラックに沿って交代しているように見えるところもある。ガラスがどこかにあるのか、不透明物質は何かは不明。 |
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写真6 4の薄片写真(クロスニコル) |
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写真7 実験に用いた窯(電気炉) |
一般的な火山岩は全て完全融解することが確認できたので、いくつかの実験テーマが設定できることが分かった。カンラン岩の部分融解は地球のマグマプロセスの基本なので、うまく再現できれば大変興味深い。まずは融解生成物を限定、確認したい。
次回予定・・・粉末試料の使用、最高温度と冷却時間の設定を変えてみるつもり。