[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック

ホーム目次/第4章 地球と生命の歴史
原始地球生命と地球の共進化化石と地質年代表地殻の進化人類

サブテーマ(解説) 生物の分類


学名
 生物の学術的な命名(学名)は、18世紀後半にリンネが確立した二名法によります。例えば、私たちヒトの学名は

Homo sapiens
ホモ属 サピエンス

と斜体(イタリック体)で書きます。ホモ属というグループのサピエンスという種であることを表します。私たちが図鑑などで見る日本語の種名は和名と呼ばれます。生物の分類は種が基本単位ですが、その上に属、科、目、綱、門、界と全部で7段階のグループが設定されています。日常生活で使われる一般的な呼称は、一つの種を指す場合もあれば、これらのグループ全体を指すこともあります。例えば、「サル」と言えばニホンザルやチンパンジーを含めた「サルの仲間」と言ったほどの意味でしょう。生物分類としてみれば、これはサル目(霊長目)全体を指したことになります。またホ乳類、菌類・・・などの「類」という呼称が用いられます。これはグループを指すときに便利なのでよく使われますが、特に決まった段階があるわけではなく、慣例的に使われています。
分類の階層 和名
動物界 脊椎動物門 ホ乳綱 サル目(霊長目)
真猿亜目
ヒト科 ホモ属 サピエンス ヒト
植物界 緑色植物門 維管束植物亜門 被子植物綱 バラ目 バラ科 サクラ属 ヤマザクラ ヤマザクラ、サクラ

五界説
 生物に名前をつけ、分類するなどという基本的な作業は、だいたい終わっていると思う人が多いかも知れませんが、実はそうではありません。生物分類は進化の系統樹の形に対応させるのが基本的な考え方ですが、現在生きている生物がどのような系統をたどってきたのか確かめるのは容易なことではありません。過去の生物に関する情報は極めて断片的で、現生生物でさえ膨大な未発見種(特に熱帯雨林)があるくらいです。そのため分類基準は形のつくり(体制)、発生過程、生態、DNAなどの総合的なもので、常に暫定的です。ここでは、現在の代表的な分類である5界説を紹介します。
細胞 従属栄養/独立栄養 移動性/固着性
モネラ界 細菌(バクテリア)
ラン藻(シアノバクテリア)
古細菌
原核細胞 単細胞 両方あり 両方あり
原生生物界 比較的単純な体制の生物 真核細胞 単細胞〜
多細胞
原生動物(従)
変形菌類(粘菌)(従)
藻類(独)など
両方あり
植物界 植物 多細胞 独立栄養(光合成) 固着性
菌界 菌類 従属栄養 固着性
動物界 動物 移動性

 日常の感覚では動物/植物の違いが大きいように見えますが、細胞のつくりや遺伝距離から言うと、原核細胞(原核生物)/真核細胞(真核生物)の違いの方がはるかに大きいのです。そこで原核生物はモネラ界と呼ぶ大きなグループと見なします。キノコは食べ物としてみると野菜(植物)の仲間のようですが、独立栄養(光合成)ではないところが植物とは大きく異なり、菌界に属します。このように5界説は私たちの日常感覚とはズレるところがありますが、生物進化の系統を比較的よく反映しています。ただし原生生物界はその他大勢(動物・植物・菌類以外の真核生物)を一つの界にまとめたもので、この点問題が残ります。

動物の分類
 5つの界はまたそれぞれ細分されます。ここでは動物の分類例をあげてみました。受精卵から卵割(細胞分裂)により次第に個体の体制ができてゆくことを発生と言いますが、その過程はちょうど動物の進化過程を繰り返しているように見えます。このことをヘッケルは「個体発生は系統発生を繰り返す」と言いました。そこで動物の分類(=系統樹)の基準として、各動物の発生過程の違いを用いるのがよいと考えられたわけです*1。表右端には発生過程の違いが、それぞれどの「門」に相当するか示しました。

主な門 (亜門) 主な綱 (亜綱) 主な目 主な動物 発生過程
動物界 海綿動物門 石灰海綿綱、六放海綿綱
普通海綿綱
  カイメン 無胚葉

腔腸動物門 ヒドロムシ綱   ヒドラ 2胚葉
鉢虫綱   クラゲ
花虫綱   サンゴ、イソギンチャク
扁形動物門 ウズムシ綱   ウズムシ(プラナリア)



 


条虫綱   条虫、サナダムシ
吸虫綱   吸虫、ジストマ
袋形動物門 ワムシ綱   ワムシ
線虫綱   線虫、回虫、ギョウ虫
軟体動物門 マキガイ綱(腹足綱)   巻き貝、ウミウシ
アメフラシ


ニマイガイ綱(双殻綱)   二枚貝
イカ綱(頭足綱)   イカ、タコ
環形動物門 ゴカイ綱   ゴカイ
ミミズ綱   ミミズ
ヒル綱   ヒル
節足動物門 クモ綱 サソリ目、ダニ目
クモ目
サソリ、ダニ
クモ
甲殻綱 エビ亜綱 ワラジムシ綱、ヨコエビ目
オキアミ目、エビ目、シャコ目
フナムシ、ヨコエビ
オキアミ、エビ、カニ、シャコ
ヤスデ綱、ムカデ綱   ヤスデ、ムカデ
昆虫綱 カゲロウ目、トンボ目、ゴキブリ目
カマキリ目、バッタ目、カメムシ目
チョウ目、ハエ目、甲虫目、ハチ目
カゲロウ、トンボ、ゴキブリ
カマキリ、コオロギ、セミ、アメンボ
チョウ、ハエ、カブトムシ、ハチ
棘皮動物門 ウニ綱   ウニ
ナマコ綱   ナマコ
ヒトデ綱   ヒトデ
原索動物門 尾索亜門 ホヤ綱   ホヤ
頭索亜門   ナメクジウオ
脊椎動物門
無顎亜門 頭甲綱   ヤツメウナギ
魚類亜門
軟骨魚綱   サメ、エイ
硬骨魚綱 条鰭亜綱 サケ目、コイ目、ウナギ目
アンコウ目、タラ目
トウゴロウイワシ目
スズキ目
カレイ目、フグ目
アユ、フナ、アナゴ
アンコウ、タラ
サンマ、メダカ
サバ、アジ、カツオ、マグロ
ヒラメ、マンボウ
肺魚亜綱 ハイギョ目 肺魚
総鰭亜綱 シーラカンス目 シーラカンス
両生綱 カエル目(無尾目) カエル
サンショウウオ目(有尾目) サンショウウオ、イモリ
ハ虫綱 無弓亜綱 カメ目 カメ、スッポン
鱗竜亜綱 トカゲ目 イグアナ、カメレオン、トカゲ、ヘビ
ヤモリ
主竜亜綱 ワニ目 ワニ
竜盤恐竜目 ティノサウルス、ブロントサウルス
鳥盤恐竜目 イグアノドン、トリケラトプス
翼竜目 プテラノドン
鳥綱 ダチョウ目、ペンギン目、ペリカン目
カモ目、タカ目、キジ目
チドリ目、フクロウ目、スズメ目
ダチョウ、ペンギン、ウ
ハクチョウ、ワシ、ニワトリ
カモメ、フクロウ、カラス
ホ乳綱 フクロネズミ目(有袋目) カンガルー、コアラ
モグラ目(食虫目) モグラ、ハリネズミ
コウモリ目 コウモリ
サル目(霊長目) ニホンザル、ゴリラ、ヒト
ウサギ目 ウサギ
ネズミ目(げっ歯目) ネズミ、リス
クジラ目 イルカ、シャチ
ネコ目(食肉目) ライオン、オオカミ、タヌキ、イタチ、クマ
アザラシ目 アザラシ、セイウチ、トド
ゾウ目(長鼻目) ゾウ、マンモス
ウマ目(奇蹄目) ウマ、ロバ、サイ
ウシ目(偶蹄目) イノシシ、カバ、ラクダ、キリン、ヒツジ、ヤギ、シカ、ウシ、ブタ

*表にあげた門、綱、目は一部です。

 私たちになじみ深い動物、例えばホ乳綱の動物たちは、「目」段階の分類でもずいぶん大きなグループに感じられます。私たちの目には差異が大きく感じられるからですが、生物全体の中で見てみると、お互いかなりよく似ていることに気がつきます。宇宙人から見たら、人もゴリラもクマも、ほとんど区別がつかないかも知れません。 

 


【*1】 実際には、現在絶滅してしまった門も含め、これらすべての門が、古生代初頭(カンブリア紀)に突然誕生したようです。したがって、生物の教科書などでよく見かける、発生過程に基づく動物の系統樹が、そのまま地質時代における動物進化の実態に対応しているわけではありません。分類基準と系統樹の関係は、今後も検討されるでしょう。