ホーム/目次/第4章 地球と生命の歴史
原始地球/地球年代表/生命誕生/生物の進化と絶滅/地殻の進化/人類
化石
過去の生物の遺骸が地層に埋もれ、その形が残っているものを化石と呼びます。また生物が生活した跡(巣穴、足跡、フンなど)も化石と呼びます。化石の重要性は次の3点にまとめられます。
1)示準化石・・・その地層が堆積した時代を知る基準になります。例えば三葉虫の化石が産出すれば古生代の、アンモナイトなら中生代の地層であることが分かります。前項で述べた放射年代の測定は確かに強力ですが、お金(設備)や時間がかかり、どんな岩石でも良いというわけではありません。それに対し化石による年代決定には長い伝統もあり、精度の良い便利な方法として今でも大変有効です。
2)示相化石・・・その地層が堆積したときの環境について教えてくれます。例えばサンゴの化石が産出すれば温暖な浅海であったことが分かります。
3)生物進化を示す・・・さまざまな生物が繁栄し絶滅し、進化してきたことを直接教えてくれます。ダーウィンの「種の起源」など19世紀に初めて提唱された生物進化説は、当時の地質学(化石と相対年代区分)の確立をベースとしています。
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写真1 中生代の代表的な化石、アンモナイト 化石として残るのは骨格や殻など固い部分がほとんどである。 |
実習 化石の観察/資料・いろいろな化石
サブテーマ 堆積岩と地層
生物進化の系統樹
生物の種が時間とともに増えたり絶滅したりするありさまは、ちょうど木の幹からたくさんの枝が分かれていく様子によく似ています。そこで生物進化の枝分かれを表した図を系統樹と呼びます。
先カンブリア時代(太古代・原生代)の系統樹の様子はよく分かっていません。枝分かれや細胞どうしの共生を繰り返しながら、原核生物から、真核生物、多細胞生物へと進化しました。まだこの頃は、種の数も、生物全体の量も少なかったように見えます。*1
古生代に入ると、突然たくさんの生物が登場します。特に動物については、現在見られる全てのグループの原型が登場し、さらに現在ではまったく考えられないユニークな動物さえたくさん現れました。このように古生代の最初の時代(カンブリア紀)には生物が爆発的に登場したので、これをカンブリア爆発と呼びます。カンブリア爆発を代表するのが、バージェス頁岩(カナダ)に産する化石たちです。オパビニア、アノマロカリスなどの現生生物とは全く異なる体の形は、さながら進化の実験を行った如くです。また私たち脊椎動物の原型も同じ頃登場しました。
その後は、カンブリア紀に現れた形を基本にしながらも、生物は進化を続け、現在の多様な姿に至っています。現在の生物は、原核細胞のままのの原核生物(細菌=バクテリア)、原生生物、植物、菌類、動物(無脊椎動物、脊椎動物)のグループに分けられます。
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| ヘッケル(1866) 古典的な系統樹。「生物進化=さまざまな生物系統の発生」という基本的な考えは現在に受け継がれる。 |
ホイタカー(1978) 現在の一般的な系統樹の一例。 |
グールド(1996) 進化の初期に多様なデザインが出現しその中の一部が生き残る、という考え方を模式的に示す。 |
| 界 | 細胞 | 従属栄養/独立栄養 | 移動性/固着性 | ||
| モネラ界 | 細菌(バクテリア) ラン藻(シアノバクテリア) 古細菌 |
原核細胞 | 単細胞 | 両方あり | 両方あり |
| 原生生物界 | 比較的単純な体制の生物 | 真核細胞 | 単細胞〜 多細胞 |
原生動物(従) 変形菌類(粘菌)(従) 藻類(独)など |
両方あり |
| 植物界 | 植物 | 多細胞 | 独立栄養(光合成) | 固着性 | |
| 菌界 | 菌類 | 従属栄養 | 固着性 | ||
| 動物界 | 動物 | 移動性 | |||
| 地質年代区分 (相対年代) |
放射年代 (絶対年代) |
生物に関する出来事 | 主な化石 | その他の出来事 | ||
| 顕 生 代 |
新生代 | 第四紀 | 170万 |
農耕の開始 人類が進化、世界へ拡がる |
現生に似る | 氷期が繰り返し来る 伊豆が衝突 |
| 第三紀 | 6500万 |
人類が登場 被子植物、ホ乳類が繁栄 |
日本海ができ日本列島はアジア大陸より分離 | |||
| 中生代 | 白亜紀 | 1.4億 |
大絶滅 ホ乳類が登場 ハ虫類(恐竜)が繁栄 裸子植物が繁栄 |
アンモナイト サンカクガイ 腕足類 サンゴ |
隕石衝突 日本列島の付加体成長 |
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| ジュラ紀 | 2.1億 |
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| 三畳紀 | 2億5千万 |
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| 古生代 | 二畳紀 | 2.9億 |
大絶滅 |
フズリナ ウミユリ サンゴ |
パンゲア超大陸の分裂 アジア大陸東縁の付加体として日本が成長開始 |
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| 石炭紀 | 3.6億 |
シダ植物、両生類が繁栄 | ||||
| デボン紀 | 4.1億 |
大絶滅 魚類が繁栄 |
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| シルル紀 | 4.1億 |
動物(昆虫)が上陸 シダ植物が上陸 |
サンゴ 筆石 三葉虫 |
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| オルドビス紀 | 5.1億 |
大絶滅 |
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| カンブリア紀 | 5.7億 |
さまざまな無脊椎動物の爆発的登場 (カンブリア爆発=バージェス動物群) |
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| 先カ ンブ リア 時代 |
原生代 | 25億 |
大絶滅 動物が登場 多細胞生物が登場 |
ストロマトライト | 日本列島最古の岩石 最初の超大陸? |
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| 太古代 (始生代) |
40億 |
酸素呼吸の開始 真核生物が登場 光合成の開始 生命誕生 |
最古の化石 |
内核の成長(磁場の発生) 縞状鉄鉱層 最古の堆積岩 |
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| 冥王代 | 46億年前 |
原始海洋 核・マントル・原始大気分化 マグマオーシャン 地球誕生 |
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繰り返す大絶滅
系統樹を見れば分かるように、生物進化の過程では多くの新種が登場します。しかし、その全てが現在も生き残っているわけではありません。多くは絶滅してしまいました。特に地球上の大多数の生物が一時に絶滅してしまうようなできごとが4〜5回あったことが知られていて、大絶滅と呼ばれます。
有名な大絶滅として、恐竜やアンモナイトなど中生代型の生物の大絶滅(6500万年前)があります。その原因として話題になったのが、隕石衝突説*3です。隕石(宇宙)由来の物質が当時の地層にあること、衝突によるクレーターが発見されたことから、隕石衝突により巻き上げられたダストが太陽光を遮断し、環境の急変(寒冷化)が彼らを大絶滅に追いやったのだというシナリオが提案されました(1980年)。
また地球史上、最も大規模な大絶滅は古生代末に起きました。こちらの原因はハッキリしませんが、その頃はちょうどパンゲア超大陸の分裂が始まった時期にあたり、超大陸を縦断する激しい火山活動による噴煙が環境急変を引き起こしたとする説があります。
サブテーマ 生物進化のしくみ
【*1】 化石として残るのは主に固い殻や骨格です。先カンブリア時代の生物のような微細な軟らかい生物は極めて化石に残りにくく、また古い地層はその後の変形・変成を被っているので、本当に先カンブリア時代には生物は少なかったのか、単に化石として見出しにくいだけなのか、よく分かりません。現生においてさえ地中や海底など、地球のあらゆるところに膨大な微生物が生息していることが最近になって話題になっています。微生物に限れば、先カンブリア時代にも豊かな生物圏があって不思議はありません。
【*3】衝撃的な隕石衝突説のデビュー
恐竜を始め中生代の生物たちの大絶滅は、古くから生物史の謎としてよく知られていました。1980年、その原因に関してアルバレス父子により衝撃的な新説が唱えられました。彼らはちょうど中生代が終わるときの地層から、イリジウムという元素を発見しました。この元素は地球上にはほとんど無いはずの、大変珍しい元素です。彼らは、このイリジウムは宇宙からきたものである、すなわち巨大な隕石が地球に衝突して巻き上げられたダスト(煙)が風に乗り、地表に降り積もったものであると結論しました。そして彼らは、この漂う煙が太陽光を遮断し、地球全体が寒冷化して多くの生物が絶滅したという、驚くべきシナリオを提案しました。当時発達してきたコンピュータ・シミュレーションにより、核戦争が起きても同じような寒冷化(核の冬)が起こるであろうと話題になりました。隕石衝突説は、当時としては突飛な説として賛否両論がありましたが、その後そのときのものと思われる衝突クレーターも発見され、隕石衝突自体は確実視されています。
中生代末の大絶滅の原因は本当に隕石衝突なのか。また、その他の時期の大絶滅の原因はどうなのか。最近の研究でも決定的な結論を出すのは難しいようです。ただ、生物の進化をプレート運動や天体現象など、地球に起こりそうなさまざまな現象と結びつけて総合的科学的に検討するようになったのは、実は最近のことです。その先駆けとして隕石衝突説は大きな歴史的意味を持ちます。大絶滅の真相は生物進化の謎とともに、今後も科学の重要テーマです。
作成2002年2月 最終更新2002年12月