ホーム/目次/第4章 地球と生命の歴史
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太陽系と地球の誕生
古い岩石や化石を調べることにより、過去の地球の様子を知ることができます。ところが地球誕生の頃の岩石は地球には残っていません。そのため地球誕生の秘密は永らく空想の域を出ませんでした。戦後になり、隕石や月、惑星など太陽系天体の探査が進むにつれ、ようやく太陽系と地球誕生の科学的シナリオを描くことが可能になってきました。
太陽系は今から46億年前、銀河系のかたすみに漂っていた星間物質(星間雲、星雲)から誕生しました。星間物質の大部分を占める水素H、ヘリウムHeはガス(気体)、その他の重元素は細かなダスト(固体)として、回転しながら円盤状に収縮してゆきます(図1)。中心部に集まった大量のガスは原始太陽になります。一方、周りを回転する円盤部分からは、太陽からの距離に応じて岩石や氷の塊ができます。これらの塊は現在の隕石や彗星のようなもので、微惑星と呼ばれます。微惑星どうしは衝突・合体を繰り返しながら、次第に大きく成長しました。微惑星がさらに大量のガスを集めてできたのが巨大ガス惑星(木星型惑星)です。一方、太陽に近いところでは、地球、金星、火星などの岩石惑星(地球型惑星)ができました。このように太陽系の天体たちは、同じ星間物質からほぼ同時に誕生した、いわば兄弟のような関係です。ガスが集まったり、微惑星どうしが合体するのは、お互いに引き合う力(重力)を及ぼし合うからです。地球以外の地球型惑星や衛星には、誕生当時の衝突の跡が、一面のクレーターとして現在も残っています。
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図1 太陽系誕生の想像図 銀河系には星間物質(ガスやダスト)が漂っている。その一部が円盤状に収縮して原始太陽系となった。中心が原始太陽である。周辺部には、太陽からの距離に応じて、岩石天体(地球型惑星など)、巨大ガス惑星(木星型惑星)、氷の天体などができた。太陽はまず収縮による位置エネルギー解放で輝き(原始星)、続いて核融合反応により通常の恒星(主系列星)として輝き始める。 |
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写真1 クレーター(隕石衝突孔) アメリカ・アリゾナ州のバリンジャー・クレーター。太陽系の岩石天体はいずれも誕生当時の姿をとどめ、無数のクレーターが見出される。地球のクレーターは風化・侵食ですぐに姿を消してしまう。写真のクレーターは新しいものなので、形がよく残っている。 |
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写真2 隕石(炭素質コンドライト) 隕石には、岩石質のもの、金属(鉄)質のものなどがあるが、写真のようなコンドライト(石質隕石の1種)は太陽系の始源的な物質であり、水などの揮発成分や有機物を含む。 (神奈川県立生命と地球博物館パンフレットより) |
マグマオーシャン
大きく成長した原始地球には、重力を増した分だけ、隕石がものすごい速さで衝突するようになります。この隕石の運動エネルギーが、衝突により熱エネルギーに変化し、地球を次第に熱くしてゆきます。やがて地球表面が千数百℃の高温になり、一面の融けた岩石(マグマ)の海となります。このような状態をマグマオーシャンと呼びます。地球全体がマグマオーシャンになると、激しい対流が起き始めました。それにつれて重い鉄は地球の中心に集まり(沈み)、核となりました。
その後、隕石衝突がおさまるにつれ、地球は次第に冷えてゆきます。重い鉄を中心(核)に落として、後に残ったマグマオーシャンが冷え固まってできたのが、カンラン岩のマントルです。マントルは地球体積の8割以上を占めるので、地球の大部分はカンラン岩からできていることになります。マントルの表層にはさらに軽い物質(玄武岩やカコウ岩)が薄皮をつくり地殻になりました。その後、核は外核(液体鉄)と内核(固体鉄)に分化しました。外核(液体鉄)の対流(電子の動き)は地球磁場の原因になっています。
このようにマグマオーシャンになった時の対流が、地殻・マントル・核という地球内部の層構造を作り出しました。その後も地球は対流により熱を放出して冷え続け、現在の地表温度は平均15℃です。地球内部の温度の推定は難しいのですが、マントル下部で約4000℃、地球中心で約6000℃と考えられます。現在に至るまで地球はマントル対流と呼ばれる、ゆっくりとした大きな対流を続けています。マントル対流は地球が熱を失ってゆくプロセスであり、第V章で学んだように、このマントル対流がプレート運動、火山、地震、造山運動など地球の変動の原動力になっています。
実習 火成岩の密度を計る
原始大気と原始海洋の誕生
地球の最も重要な特徴として、大量の水(海)があることを第U章で学びました。地球の水は、もともとは地球の材料である隕石(微惑星)に含まれていた水分です。隕石衝突時や、その後のマグマオーシャンができた時、気体になりやすい物質は蒸発して地球を取り囲みました。このようにして最初の地球大気(原始大気)ができました。原始大気は高温で、主に水蒸気と二酸化炭素からなります。
やがて地球が冷えるとともに水蒸気は雨となって地表に降り注ぎ、ついには巨大な水たまり(すなわち原始海洋)が誕生しました。一度海洋ができると、水に溶けやすい二酸化炭素は海水に溶け、大気中からは減っていきます。そのため大気の温室効果も弱まり、ますます地球は冷えてゆきます。現在地球で発見されている最古の堆積岩は38億年前のものです。このことから、少なくとも38億年前には海と陸ができていて、現在と同じような陸地の侵食と海底での地層の堆積が起きていたと推定されます。
地球と金星は隣どうしの惑星であり、誕生当時の姿はよく似ていたことでしょう。しかし金星は太陽に近い分だけ高温で、水蒸気が水(海)になる前に宇宙に逃げてしまったと考えられます。そのため金星では二酸化炭素の猛烈な温室効果が現在も続いていて、表面温度は500℃に近い高温で乾燥した惑星です。金星に比べて太陽からいく分遠い地球には、海ができ、陸ができました。このことは地球にとって、そして何より私たち生物にとって運命的な重大な出来事でした。
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写真3 38億年前の堆積岩 グリーンランド、イスア地方。世界最古の岩石*1の中でも代表的なもの。変成作用と褶曲を被ってはいるが、地層として堆積した岩石であることがよく分かる。この時期にはすでに海と陸ができていて、現在と同じような侵食や堆積作用があった証拠である。 (神奈川県立生命と地球博物館パンフレットより) |
| 砕屑性ジルコン | 43億年前 | 西オーストラリア | 堆積岩中の鉱物粒子 |
| 変成岩 | 40億年前 | カナダ北西、アスタカ片麻岩 | 高温で変成していて、部分的な露出なので当時の復元には難 |
| 堆積岩 | 38億年前 | グリーンランド・イスア | 堆積岩であり、当時の様子を復元できる |
作成2002年2月 最終更新2002年11月