実習 食塩を融かす、ガラスを融かす(ガラス細工)
【問】 食塩、ガラスを熱したらどうなるか
ア、燃える イ、焦げる ウ、融ける エ、割れる オ、変わらない
【食塩編】
【使うもの】
高温ガスバーナー(ブタンガス)、試験管、塩化ナトリウム
【手順】
1)試験管に食塩を少量入れ、高温の炎で熱する。
2)融けた食塩を勢いよく蒸発皿に出してみる。
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| 数分で融点801℃を越え、サラサラの液体になる |
【ガラス細工編】
【使うもの】
ガラス管、ガスバーナー、色ガラス片、徐冷材(バーミキュライト)

【手順】
1)ガラス管(20cm)の端をガスバーナーで熱して融かし、口を閉じる。
2)閉じたら融けているうちに、管の反対側から息を吹き込み丸くふくらます。
3)中に色ガラス片(ガラスビーズ)を入れて、反対側の端も熱して閉じる。
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| 融けて軟らかくなり始めたガラス 炎のオレンジ色はガラス中のNaの炎色反応 |
上は二重球、青ガラスビーズ入り。 下は両端球。これ以上大きな球はガラスが薄くなり過ぎるので良くない。 |
【結果と解説】
ものが融ける(固体から液体になる)のは、高温になるにつれて原子(分子)の動きが激しくなり、ついに原子(分子)どうしの化学結合が切れて原子(分子)が自由に動くようになるからです。食塩のような物質も、化学結合が切れてNaとClが動くようになれば液体です。純物質は特定の温度(融点)で融けます。1気圧での融点は水は0℃、塩化ナトリウム801℃です。これに対しガラスのような混合物は融け始めてから完全な液体になるまで温度に幅があります。ガラスは主にケイ素Siと酸素Oからなる混合物で、この2元素からなるシリカガラスが融け始めるのは1000℃近くです。これにNa、Ca、Mgなどが加わった並ガラス(窓ガラスやコップ)は600℃くらいから融け始めます。
ガラスのこれらの性質はマグマによく似ています。マグマもケイ素Siと酸素Oを主に、Mg、Fe、Ca、Al、Naが加わってできた物質であり、ガラスによく似た化学組成を持ちます。マグマも(種類によりますが)1000℃前後で融けます。
なお融けたガラスやマグマが赤く光るのは、温度が高いからです。一般に物質は温度に応じた光を発します。私たちの体も体温に応じた光(赤外線)を発しています(目には見えませんが)。高温のガラスやマグマが赤熱するのはこのためであり、決して「燃えて」いるわけではありません。(答:ウ)
【授業風景】
バーナーの共用は好ましくないが、台数に限りがあるのでやむなし
教員用レシピ
【食塩編】
【使うもの】
塩化ナトリウム・・・食卓塩だと濁った液体になる
高温ガスバーナー(ブタンガス)・・・通常のガスバーナー(都市ガス)では温度不足
試験管、試験管ばさみ、蒸発皿
【手順】
1)試験管に食塩を少量入れ、高温の炎で熱する。融点801℃以上でサラサラの液体になる様子を観察する。数分の加熱で液体になるので簡単に演示できる。
2)融けた食塩を勢いよく蒸発皿に出してみる。つらら状や液滴状に固結した食塩ができる。

【時間】 5分
【ガラス細工編】
【使うもの】
ガラス管・・・20cmくらいにカット
ガスバーナー
色ガラス片・・・ガラス細工の材料、工芸材料店など買うことができる(なくても可)
徐冷材・・・園芸用バーミキュライトを適当な器に入れたもの。なくても良いが徐冷用、置き台としてあると便利。
【手順】
1)ガスバーナーは空気を多めに入れる(ボーボー音がするくらい)。ガラス管の端を熱して融かし、口を閉じる。ゆっくり回しながら熱すると1分くらいで自然に閉じる。
2)閉じたら炎から出し、素早く反対側から息を吹き込み丸くふくらます。ふくらみが足りないときは再度試みる(大き過ぎる球は薄く割れやすいので危険)。
3)中に色ガラス片(ガラスビーズ)を入れて、反対側の端も熱して閉じる。
4)閉じた状態で熱していると、中の空気が膨張して球がふくらむ。
【時間】 30分〜2時間
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■時間がなければ、両端を閉じるだけのシンプルマドラーでも良い。時間があれば、球をふくらましたり、ねじったり、いろいろな形にして遊んだりできる。 |
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■球の大きさは、ガラスの融け具合(軟らかさ)と息の強さで決まる。ふつうはかなり強く息を吹き込む。写真のようにふくらみ過ぎると、ガラスは非常に薄くなり危険。 |
■ガラス細工は、状態変化やガスバーナーの使い方など化学授業の導入として人気がある。地学では、生徒にイメージしにくい「岩石の融解」や「軟らかいマントル」のモデルであるが、ハッキリ言って遊びの時間。遊びは楽しい。
■バーナーワーク用の低融点ガラスも試したが、高価だし、軟らかすぎて(授業では)難しい。ガラス管が一番扱いやすい。
■細工をしてガラスに厚みが出た部分は、急熱・急冷ですぐに割れてしまう。冷ますときは園芸用バーミキュライトなど徐冷材の中に入れておくと、火傷防止も兼ねて良い。
■火傷に注意。慣れてきた頃が危ない。
★「炎の中で熱しながら少しずつ吹く」ように書きましたが、誤りでした(経験者から教わりました)。「融けたところで炎から出し、熱いうちに素早く吹いてふくらます」が正しいやり方でした。お恥ずかしい・・・

ガラス工作の実演。シリカガラスを1000℃で融解加工するところ。驚いたことに、白熱した状態で水に入れても割れない。水中でしばらく発光している(写真右)。
(2002年11月、東大・柏キャンパス一般公開にて)