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ホーム目次第3章 熱い岩石の星・地球
火山マグマ/鉱物と岩石/地震地球内部を探るプレートテクトニクス大陸移動と造山運動


鉱物と結晶
 岩石は鉱物と呼ばれる粒々の集まりです。一般に、原子が規則正しく配列した固体を結晶と呼びます。大部分の鉱物は結晶です。このため鉱物はしばしば規則正しい外形を示す結晶として産します。例えば、水晶の断面は面角60°の六角形です。鉱物にはいろいろな種類のものがありますが、それぞれ固有の化学組成、色、形、硬度などを持ちます。原子が規則正しく配列していないものはガラス質と言います。多くの宝石は、鉱物結晶のうち美しくて硬いものをカットして磨いたものです。また鉱物は金属資源としても重要です。

写真1 水晶(石英) SiO、透明、硬度7
 もっともポピュラーな鉱物結晶の水晶。石英Quartzという鉱物のうち、写真のように形の整ったものを「水晶」と呼ぶ。写真のように真上から断面の形を見ると、内角120°(面角=補角=60°)の六角形をしている。原子が規則正しく配列していることが、このように外形にも表れる。石英の化学組成はガラスとよく似ているが、原子が規則正しく配列している(結晶)点で異なる。写真の例のように、結晶が自由に成長して本来の形をそのまま示すものを「自形」と言う。
写真2 方解石 CaCO 、透明、硬度3
 これもポピュラーな鉱物結晶。石灰岩(炭酸カルシウム)をつくる鉱物。平行四辺形の外形はへき開面(割れやすい面)であり、水晶のような結晶の成長面とは異なる。へき開も鉱物の重要な特徴。また写真のように文字が二重になって見えるのは、複屈折率(光を2つに分ける性質)が大きいため。

実習 水晶球とガラス球を見分ける

マグマから結晶する鉱物
 いろいろな鉱物の中で、特にマグマから結晶するものが重要です。それは主にカンラン石、輝石、角セン石、黒雲母、長石、石英、磁鉄鉱の7種類です。マグマ固結の末期には、最後まで残った液体(熱水)から珍しい元素を含んだ鉱物ができます。このような鉱物には、貴重な金属資源(鉱石)となるものも多くあります。
 マグマにはいろいろな元素が含まれていますが、主成分はケイ素Si酸素Oです。そのため、マグマから結晶する鉱物も、主にSiからできています。表1のように、磁鉄鉱をのぞくすべての鉱物にはSiが含まれています。Si強く結び合ってSiO四面体をつくり、これが鉱物の骨組みのような役割をします(写真3)。それ以外の元素としてMg、Fe、Ca、Al、Na、Kなどの金属元素(陽イオン)がありますが、その中で鉄FeマグネシウムMgの有無に注目しましょう。FeMgを含む鉱物(カンラン石・輝石・角セン石・黒雲母)は、緑色や黒色などを呈し、有色鉱物と呼ばれます。一方、FeMgを含まない鉱物(長石・石英)は透明や白色で、無色鉱物と呼ばれます。

表1 造岩鉱物の元素と色の関係
造岩鉱物 構成元素 分類
カンラン石 Mg、Fe Si、O 有色鉱物
輝石 Mg、Fe Ca Si、O 褐色、黒
角閃石 Mg、Fe Ca、Al、Na、K Si、O
黒雲母 Fe Al Si、O
長石 Ca、Al、Na、K Si、O 無色鉱物
石英 Si、O 透明
磁鉄鉱 Fe 不透明 不透明鉱物
写真3 SiO四面体のモデル
 磁鉄鉱を除く6種の造岩鉱物は、ケイ素Si酸素Oできた四面体(SiO四面体)を共通して持っている。この四面体がO原子を共有していろいろな形につながり、その間を埋めるようにその他の原子(イオン)が入る。四面体のつながり方の違いにより、6種の鉱物がある

サブテーマ 造岩鉱物分別結晶作用

実習 いろいろな鉱物の観察

火成岩の分類
 もしケイ素Si酸素Oが少なく、その分鉄FeマグネシウムMgを多く含むマグマが冷えれば、有色鉱物が多く結晶するので、黒っぽい岩石ができます。逆にSiが多く、その分FeMgが少ないマグマが冷えれば、無色鉱物が多く結晶するので、白っぽい岩石ができます。つまり、もともとのマグマに含まれていたSiの量(Si量で表す)の違いが、できる鉱物の違いとなり、見た目の色調の違いに反映しています。そこで、まずマグマをSiO量で4種類(45%、50%、60%、70%)に分類します。
 マグマが冷えて固まった岩石を火成岩と総称します。そのうち、マグマがゆっくり冷えて鉱物結晶が大きく成長した岩石を深成岩と呼びます。深成岩の多くは、火山の地下にあるマグマだまりがそのままゆっくり冷え固まってできたと考えられます。逆にマグマが急激に冷やされると、結晶は大きく成長できず、小さな結晶や非結晶質(ガラス質)のかたまりになります。このような岩石を火山岩と呼びます。火山岩はマグマが地表に噴出して、溶岩や噴石になったり、地表近くの浅い割れ目に貫入して固まってできます。*3
 このように、火成岩は、@鉱物組合せ(もともとのマグマの種類)と、A結晶の大きさ(冷え方の違い)という、二つの基準で分類することができます。表2はそのようしてできた火成岩の分類表です。

表2 鉱物組み合わせ(マグマの種類)と鉱物粒度による火成岩の分類*1
マグマの種類
SiO
45% 50% 60% 70%
造岩鉱物 有色鉱物 カンラン石
輝 石
角セン石  
黒雲母
無色鉱物 長  石
石英
不透明鉱物 磁 鉄 鉱など
岩石の色調 緑、 黒 ←−−−−−−−−−−−−→  白
火成岩 火山岩
細粒(急冷)
玄武岩 安山岩 流紋岩
デイサイト*2 流紋岩
深成岩
粗粒(徐冷)
カンラン岩 ハンレイ岩 閃緑岩 カコウ岩
カコウ閃緑岩 カコウ岩
岩石の密度
g/cm
3.3 3.0   2.7

写真3 7種の火成岩

実習 関東ローム層中の鉱物を洗い出し観察する

偏光顕微鏡による岩石の観察
 植物や動物は色や模様、形を図鑑と照らし合わせていけば、その名前を知ることができます。ところが、岩石はなかなかそうはいきません。特に結晶の粒の小さい岩石は、肉眼で見ただけでは、プロでも間違えます。そこで、顕微鏡で観察することが必要になります。観察にはスライドガラスに岩石を貼り付けて、0.02mmの薄さに削ったもの(岩石薄片、岩石プレパラート)を用います。顕微鏡も通常のものではなく、偏光顕微鏡という専用品を用います。
 下の写真を見てください。左は通常の光で見た様子です。光を通さない不透明鉱物が黒く見える以外は、全体に透明に見えます。ところが偏光板というフィルターではさんで見ると、右のように鉱物ごとに色(干渉色)が見え、ずっと分かりやすくなります。ただ見るだけでも美しい岩石がたくさんありますので、ぜひ一度、偏光顕微鏡をのぞいてみましょう。写真の岩石は主にカンラン石からできた粗粒の岩石なので、カンラン岩であることが分かります。

写真4 偏光顕微鏡(上偏光板なし)で見たカンラン岩
中央上の黒い塊は不透明鉱物(スピネル)、それ以外はカンラン石。筋や汚れのように見えるのは、カンラン石のクラックなど。
(北海道カムイコタン帯・岩内岩体、横幅2mm)
写真5 同じく上偏光板ありで見た様子
カンラン石はこのように鮮やかな色(干渉色)を示す。一つの色の領域が一つの鉱物粒を表す。

実習 岩石薄片の偏光顕微鏡観察
  入門編
  観察編・薄片写真集
  薄片の作り方

実習 結晶成長の観察(サリチル酸フェニール)
実習 火成岩の密度の測定

サブテーマ 変成岩と造山運動

 


【*1】 このような表の横軸には、SiO量をとる場合と、有色鉱物の割合(色指数)をとる場合とがあります。厳密には両者は異なるのですが、ほぼ同じようなものと考えて良いでしょう。ここでは色指数とせずに、単に色調としておきます。またSiO量の少ない方から超塩基性、塩基性、中性、酸性と呼ばれますが、化学で言う酸と塩基ではありません。混乱するので、早く止めにしたい呼び方です。
 よく詳しすぎる分類表を見かけますが、(高校レベルでは)好ましくありません。それよりも、分類の二つの基準の意味を理解するようにして下さい。この火成岩の分類表は、理科の中でもつまらない暗記事項の代表として受け取られているようで、残念です。私見では2分法(黒い玄武岩と白い安山岩カコウ岩)の方が好ましいと思っています。

【*2】 SiO
70%前後の火山岩を流紋岩と言います。ただし流紋岩と安山岩の間に当たるものをデイサイトと呼ぶこともあります。分類を簡単にするため、岩石名を増やしたくはないのですが、デイサイトは日本の火山にはポピュラーであり、使ったほうが便利なことも多いようです。なお、デイサイトと流紋岩は、これとは異なる定義で用いられることもあります。

【*3】

図1 マグマの冷え方と火山岩/深成岩の関係

たいていの安山岩(多くの玄武岩も)には比較的大きな結晶が斑点状に見られます(斑状組織)。これは図のようにマグマだまりで、すでに成長していた鉱物結晶を含むマグマが噴出したからです。斑点をなす結晶(斑晶)からマグマだまりの様子を読み取ることができます。
厚い溶岩や岩脈の内部などはかなり粗粒になっていますが、火山岩に含めます。また深成岩体の一部にはかなり細粒の部分もあります。火山岩/深成岩の境界はあまり厳密ではありません。


関連サイトと参考書

楽しい鉱物学/堀秀道
草思社(1990)2000円
 作者は著者堀氏の講演を聴いたことがあるが、何とも言えない不思議な雰囲気の方。先日、TV番組(何でも鑑定団)に出演しているところを見たが、やはり異彩(?)を放っていた。大学の「研究者」とは違った、アマチュアライクな求道者と言った感じか・・・。ただし鉱物に関する学問的基礎は確実。姉妹編の「楽しい鉱物図鑑/草思社」も良い。
kato’s Collections
http://www.asahi-net.or.jp/~ug7s-ktu/index.htm
鉱物コレクションのページ。美しい鉱物写真の数々は圧巻
金沢大学・石渡明氏のサイト
http://kgeopp6.s.kanazawa-u.ac.jp/~ishiwata/index_j.htm
水晶玉とガラス玉、オフィオライトの解説、その他岩石学の話題いろいろ
石からわかる地球の話
http://www3.justnet.ne.jp/~hagiya/index.htm
萩谷宏氏による情報量豊富な充実したサイト。地球科学の解説や標本写真多数あり。

作成2002年1月 最終更新2003年12月