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ホーム目次/第2章 水と大気の星・地球
海水と陸水海の世界海水の動き地球の大気大気の対流水蒸気と雲/天気図/大気の大循環


大気に含まれる水蒸気
 コップの水がなくなったり、洗濯物が乾くのは、水分子が大気中に蒸発していくためです。密室に洗濯物を干しても乾きが悪いのは、部屋の空気が受け入れられる水蒸気には限度があり、それ以上は水が蒸発できないからです。1m の空気が含みうる水蒸気の最大限度を飽和水蒸気量と呼びます。最大限度まで水蒸気を含んで飽和した(いわば満員の)状態が湿度100%です。その半分しか水蒸気が入っていなければ湿度50%です。

 湿度(%)=含まれている水蒸気/飽和水蒸気量 ×100 

 水蒸気量は気温により大きく変わります。図1は気温と飽和水蒸気量の関係を表しており、このような右上がりのグラフになります。

図1 気温と飽和水蒸気量

 グラフ上のaは気温30℃、水蒸気15g/mを含む空気を表します。この空気の飽和水蒸気量はグラフから約30g/mと読みとれるので、まだまだ余裕がある(湿度50%)ことが分かります。今、この空気を冷やしてゆくと、気温低下とともに飽和水蒸気量は小さくなる(そこにある水蒸気量は15g/mのまま・・・)ので、だんだん余裕がなくなってきました。bまで気温低下すると、湿度は大分上がってきます。さらにcまで気温低下すると、ついに飽和して湿度100%になってしまいます。さらに気温が低下すると、水蒸気の一部はもはや空気に入っていられなくなり、凝結して水滴になり始めます。これが結露です。dまで低下すると、はじめにあった水蒸気の1/3が結露してしまいました。*1
 ある気温の空気を次第に冷やしてゆき、ついに飽和して結露が始まる温度を露点といいます。逆に、露点が分かれば、その空気に含まれている水蒸気量が分かるので、湿度を計算することができます。

実習 露点を測定して湿度を求める

雲ができるしくみ
 水蒸気(気体)が液体(水)になることを凝結といいます。空気を露点以下まで冷やせば、余った水蒸気が凝結することが分かりました。これが冷えたコップや窓ガラスの表面に起きるのが結露ですが、同じことが空気中で起きてできたのが雲や霧です。空気の塊(気塊と呼びます)が上昇して行くと、次第に気圧が下がるので、気塊は膨脹します。上昇が素早く起こり、気塊が熱の出入りなしに膨脹することを断熱膨脹と呼びます。*2 断熱膨脹が起きると、気温は下がります。もし露点以下まで下がれば、空気中のチリの粒子のまわりに余った水蒸気が凝結して、小さな水滴ができます。この場合、チリの粒子は凝結核として水蒸気の凝結を促す働きをしています。このようにしてできたものが雲です。つまり「雲は気塊の上昇(上昇気流)によりできる」とまとめることができます。
 上昇気流の発生はさまざまですが、ここでは代表的な3つのケースを紹介します
1)気塊が山を越えるとき・・・山を越える(上る)時、気塊は上昇して雲が発生します。山に雲がかかりやすいのはこのためです。日本列島の山地に対し、日本海を越えて吹きつける季節風(冬)や、南海上から湿った空気吹きつけるときに大雪・大雨が降るのはこのせいです。
2)強い日射に暖められた地表では、地表付近の空気も暖められて密度が小さく(軽く)なり上昇します。夏の入道雲(積乱雲)は、このようにして起きた垂直方向の上昇気流によるものです。同じように、1年中高温の熱帯の海上では、常に水蒸気を多く含む空気が上昇しては雲を作っています。これが発達すると熱帯低気圧(台風)になります。
3)対流圏では、いつも北の寒気と南の暖気が大規模に対流しています。これらのうち広範囲に上昇が起きているところでは広い範囲で雲ができます。半日、一日と雨を降らせるような大きな雲はこうしてできます。
 
 上昇気流が垂直方向に素早く起こると、モクモクとした雲(積雲や積乱雲)ができます。これに対し広い範囲の気塊がゆるやかな坂道を登るように少しずつ上昇すると、薄く層状に拡がった雲(巻雲、高層雲、巻積雲、高積雲など)ができます。また上昇気流がなくても、夜間の気温低下などで薄い雲ができる場合もあります。

実習 ペットボトルの中に雲を作る

気塊の上昇
 水が蒸発するときには、まわりから蒸発熱を奪います。逆に、水が凝結するときには、まわりに凝結熱を放出します。雲の生成は水蒸気が水滴に凝結する現象ですから、このとき同時に凝結熱が発生しています。
 通常の上昇気流では、断熱膨脹により気温が低下するばかりで、具体的には1000mの上昇につき10℃低下します(A)。ところが、気塊が雲を作りながら上昇するときは、凝結熱が発生してしまいます。断熱膨脹で冷やされる一方で、凝結熱で暖められる、ということになります。両者の効果を重ねると、結果的に、1000mの上昇につき5℃しか低下しません(B)。すなわち、同じ上昇気流でも、雲ができるときのできないときでは、気温の下がり方が異なります。前者(A)の気温低下率を乾燥断熱減率、後者(B)を湿潤断熱減率と言います。

(A)
通常の上昇気流
断熱膨張による気温低下 乾燥断熱減率
−10℃/1km
(−1℃/100m)
(B)
雲を作りながらの上昇
断熱膨張による気温低下

水蒸気の凝結熱による加熱
湿潤断熱減率
−5℃/1km
(−0.5℃/100m)

サブテーマ フェーン現象


【*1】 湿度の計算は中学理科でも嫌われものです。気温とともに飽和水徐気は変わるのに、そこにある水蒸気量は変わらない、というところがイメージしにくいのでしょうか。温度の上下と聞くと、エアコンなどで空気そのものが入れ替わる様を想像してしまうからでしょうか・・・?
 教室(大きさ変わらない)の座席数(飽和水蒸気量)が増えたり減ったりして、同じ人数(水蒸気量)でも余裕があったり、満員(湿度100%)だったり、あぶれたり(結露)する様子を想像して下さい。

【*2】 空気は熱伝導の起こりにくい物質なので、断熱膨張(圧縮)による温度低下(上昇)が効果的に起こります。


作成2001年7月 最終更新2002年9月