ホーム/目次/第2章 水と大気の星・地球
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波浪・津波と潮汐
海水の動きのうち、最も私たちの目に留まりやすいのは「波」でしょう。波を表すときには図のように、波長、振幅(波高)、波の速さという三つの語を使います。
海面の波はまず風によってできます。風によってできたギザギザした不規則な形の波を風浪と言います。風がやめば小さな風浪はすぐに消えてしまいます。しかし大きな波(波長の長い波)はすぐには消えないで遠くへと伝わります。このようにして角(波頭)が丸まった波長の大きな波(うねりと言う)がはるか遠くへ伝わって行きます。夏から秋にかけて太平洋岸に打ち寄せる「土用波」は、はるか南方の台風によるうねりがやってきたものです。水面の波は水深が浅くなると伝わりが遅くなる性質があります。*1 このため海岸に打ち寄せる波は、海岸に近づくにつれブレーキがかかったように遅くなって間隔が詰まり、その分振幅(波高)も大きくなります。そして、ある程度以上高くなると波頭が崩れて砕け波(サーフ)になります。
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| 図1 波を表す3つの語 | 図2 風浪とうねりの違い | |
地震によって海底が突然振動(隆起や陥没)すると津波が発生します。津波のような波長の長い波の速さは√水深に比例します。*1 そこで津波は水深の大きい大洋を非常に速く伝わります。そして陸に近づき水深が浅くなるにつれ急激に波高を増し、しばしば大災害を招きます。
海水の動きとして私たちの目に留まるものに、潮の満ち引き(潮汐)があります。海面は月の引力の影響で、月の方向とその反対側に盛り上がり、ラグビボール状に歪んだ形になっています。一方地球は自転もしています。そのため1日に2回満潮と干潮があります。干満の差によりできる海水の流れを潮流と言います。*2

写真1 潮流として有名な鳴門の渦潮
(2001年7月、鳴門大橋より、写真ではハッキリした渦は見えないが・・・)。船は渦見物の観潮船。
海流
地球上の風は大きく見ると大体一定方向に吹いています。中緯度の西風(偏西風)や低緯度の東風(貿易風)がその代表例です。そのため風に押されるようにして海面に流れが生じます。これが海流です。地球の自転による見かけの力(コリオリの力)の影響で事情はやや複雑ですが、結果的に北半球では太平洋や大西洋に大きな時計回りの海流が流れています。これらの海流は渦の西側(大陸東岸)で流れが強まり(西岸強化)、黒潮や湾流(メキシコ湾流)として知られています。黒潮は南から流れてくるので水温が高く(暖流)、そのため太平洋岸地域は冬でも暖かい気候となります。北ヨーロッパが高緯度の割に暖かいのも、同じように湾流(暖流)の影響です。
図3 表層海水の動き(海流)
このような海表面部の海流とは別に、地球の海水(主に深層水)は非常にゆっくりと地球全体を循環していることが分かってきました。北大西洋(グリーンランド沖)と南極ウェッデル海で沈み込んだ冷水が2000年もかかって深層を移動して太平洋に達し(深層海流)、表層流として再び大西洋に戻っています。このような流れはゆっくりとはしていますが長時間にわたる大規模なものであり、地球の気候変動にも大きな影響を与えているようです。
図4 深層海流の循環の様子(ブロッカーのコンベアベルト)
サブテーマ コリオリの力/風成海流
【*1】
水深に比べ波長が長い波(長波)の速さ=√(g・D)
水深に比べ波長が短い波(表面波)の速さ=√(g・L/2π)
g=重力加速度9.8m/秒2 D=水深(m) L=波長(m)
【*2】 潮汐を起こす力(起潮力)
最近の高校地学では起潮力について詳しく扱わなくなってきました。「潮の満ち引きは月の引力による」と言う説明を聞くと、単純に月のある側に向かって海面が盛り上がると考えられがちですが、そうではありません。
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「月は地球の周りを回っている」と言いますが、正確には月と地球は互いに共通重心の周りを回っています。共通重心は地球中心から地球半径の3/4ほどずれたところにあります。図はその様子を真上から(北極上空から)見下ろした概念図です。 図1 この回転運動を最も単純に考えるには、地球を質点(質量だけを持ち大きさを持たない点)と見なします。この場合は、地球中心(重心)が共通重心の周り(破線円)を回転する運動と見なせ、月から受ける重力と回転の遠心力がつり合っています。 図2 実際の地球には大きさがあります。そこで地球の各点(ABCD)それぞれの運動を考えます。地球自身の自転を考えないと、ABCDはそれぞれ破線円の円運動します。各円運動の速さと円の大きさは等しいので、ABCDどの点でも受ける遠心力の大きさ・向きは等しくなります。 図3 最後に月から受ける引力を考えます。引力は月に近いC点で最大、遠いA点で最小になります。この引力と遠心力の合力が起潮力になります。すると起潮力は図のような大きさと向きを持つことになります。この起潮力により海水面が変形します。地球は自転していいるので、海面が盛り上がったところが満潮、その逆が干潮に相当します。 実際にはこれに太陽の起潮力が加わります。月の起潮力と太陽の起潮力が重なるときが最も海面が盛り上がります(大潮)。 |
FAQ.1 地球の裏から津波がやって来るということは、地球の裏にあった海水が来るのですか?
違います。波は形(エネルギー)が伝わる現象であり、水自身は上下に振動しているだけです。スポーツ応援の観客席で見られる「ウェーブ」を思い出してください。ただし海岸に打ち寄せる砕け波では上下だけでなく前後方向の振動(水の移動)の大きくなります。これに潮流などが重なり、水は流れはかなりの速さになりますので、海水浴などでは十分注意して下さい。
作成2003年7月 更新2003年7月