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ホーム目次/第1章 身近な土地の生い立ち
地形図を読む地面は何からできているか台地と低地の生い立ち海面の上下と氷期河川がつくる地形私たちの第四紀


私たちの第四紀
 本章では「身近な土地の生い立ち」のタイトル通り、空間的にも時間的にも身近な小さなスケールの部分を扱いました。地表には土壌があり、その下にはいろいろな地層があることを学びましたが、そのさらにずっと下、地下数km、数十km、数百kmには何があるのでしょうか。そこには火成岩や変成岩というかたい岩石があります。
 時間についても同様です。数千年前の縄文時代と言えば、日本史の授業では最初に出てくる遠い遠い昔の話です。今回はそれよりさらに古い10万年前からの話をしました。氷期が訪れたり、氷河や河川の侵食・堆積でいろいろな地形ができたりするのは、そのような長い時間の話です。しかしこれらも、地球の歴史の中では、ごく最近の短期間に過ぎません。地球の歴史は46億年あります。プレート運動で大陸が移動したとか、隕石が衝突して恐竜が絶滅したといった話を聞いたことがあるかも知れません。これらは数千万年、数億年といったさらに大きな時間スケールの話になります。
 さて、それでは本章の話が、地球全体の歴史の中でどのような位置にあるのかをみておきましょう。表は地球の歴史46億年の時代区分です。なお、地球史の年表は、地層が下から上へ堆積してゆくのになぞらえて、下から上に時間が進むように描く場合が多いものです。


図1 地質年代表

 地球史の年代区分は、約6億年前(左側の数字が570=570×100万年=5.7億年)から急に細かくなっています。実は、それ以前の地球については古過ぎてよく分からず、時代区分も表のように大ざっぱでしたが、最近になり急激に研究が進んできました。一方、6億年前以後は、生物の化石がたくさん発見されるようになるので、それをもとに細かな時代区分がなされています。ここでは大まかに、古生代中生代第三紀第四紀の4つの区分を頭に入れてください。
 4つの時代区分の中で、170万年前から現在までを第四紀と呼びます。他の時代に比べると大変短い長さですが、何より私たちの生きる現在を含む時代ですから重要です。第四紀の特徴として、氷期が繰り返し訪れたこと、私たち人類の祖先が登場したこと*1があげられます。本章では、この第四紀170万年間の最後の10万年間を扱いました。

 本章で取り上げた台地と低地の生い立ち、すなわち日本の第四紀が研究されるようになったきっかけは、1923年の関東地震(大震災)です。山の手に比べて下町の家屋の被害が大きかったことから、何か地盤に違いがあるのではないかと考えられ、調査が始まりました。現在では、紹介したような地層や化石の調査に加えて、さまざまな技術を用いた研究もなされ、日本に限れば、大分詳しいことが分かってきています。しかし地球全体の気候や環境の変化、人間を含む生態系との関係などはまだよく分かっていません。例えば、くり返し氷期が訪れるのはなぜか、よく分かっていません。地球という惑星の運動、地球自身のさまざまな営みが複雑にからみあって起きている現象らしいので、原因と結果の関係が簡単には分からないのです。
 現在の地球はウルム氷期後の温暖期にあたります。氷期はくり返し訪れていますので、将来(と言っても数万年後?)また氷期がやって来ると考えるのが自然です。だだし、ある日突然氷期になるわけではありません。小さな変動や揺らぎがあり、全体として寒冷な時期を氷期と呼んでいます。氷期と呼ぶほどではないが、気温がやや低くなる時期を小氷期と呼びます。中世はいまより寒く、この小氷期にあたります。日本でもたびたび冷害による飢饉に襲われました。
 寒くなるにしろ、温かくなるにしろ、気候変動は私たち人間に大きな影響を及ぼします。そもそも私たち人間の文明は、1万年前にウルム氷期が終わり地球が温暖化したことにより出発しました。農耕の開始〜古代文明の誕生です。現在では二酸化炭素の排出による地球温暖化が重大な問題になっています。気候や環境の変動にほんろうされてきた人類ですが、今度は人類自身が気候や環境を急激に変動させてしまうようになりました。その変動がどのようにおこるか予想することは難しく、今のところうまくコントロールできる見込みはありません。21世紀を生きる皆さんに地学を学んでもらいたいゆえんです。

図2 過去20万年間の気温の変化(IPPC、1990を改作)

総合テーマ・二酸化炭素と地球・・・地球の気温と二酸化炭素・地球温暖化


【*1】かつては第四紀=人類時代という理解でしたが、最近では最初の人類(二本足歩行者)の登場は約500万年前と推定されています


作成2001年5月