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ホーム目次/第1章 身近な土地の生い立ち
地形図を読む地面は何からできているか台地と低地の生い立ち海面の上下と氷期河川がつくる地形私たちの第四紀


地下にある地層
 砕屑物(レキ、砂、泥)などが下から上に堆積してできたものが地層です。河底、湖底、陸上に堆積した地層もありますが、多くの地層は海底に堆積したものです。地層はもともと水平に堆積したものですが、地殻変動により傾いたり変形(褶曲)することがあります。また一旦堆積した地層が侵食により削られ、その上に新たに別の地層が堆積することもあります。地層に化石が含まれていると、堆積した時代や環境を推定することができます。土地の生い立ちを探るには、この地層を調べることが必要です。
サブテーマ 地層と堆積岩

アルバム 地層を見る
 表面の土壌や台地の縁に覗く関東ローム層は直接見ることができました。それでは、さらにその下にはどんな地層があるのでしょうか。地下の地層を調べるため、ドリルで地面に細い穴を掘りながらサンプルを採集していくのがボーリング調査です。石油や温泉を掘り当てるためには、数千mもの深いボーリングがなされます。それ程ではありませんが、学校のような大きな建物を建てるときにも、地盤の良し悪しを知るためにボーリングを行います。今回はそのときのボーリング調査の資料を参考にします(図1)。図1のように、下から上に堆積した地層を縦長の図に表したものを地質柱状図と呼びます。



沖積層
 上部は枯葉など腐植を含む泥の地層
 多量の水を含み、非常に軟らかい
  
 下部は灰色の泥の地層
 水をやや含み軟らかい
 貝化石あり
成田層(木下層)
 白っぽい砂の地層
 水を含まず固い
 貝化石あり

図1 実籾谷低地の地質柱状図

実習 ボーリング調査のサンプルを観察し地質柱状図にまとめる

台地と低地の生い立ち
 複数の地質柱状図をより合わせてゆくと、図2のような地質断面図を描くことができます。このような地質断面図があれば、そこから土地の生い立ちのシナリオを組み立てることができます。

図2 台地と低地の地下断面図
 
地質調査(陸上調査やボーリング調査)から作った多数の地質柱状図(図1など)を総合して、このような断面図にまとめる。これが土地の生い立ち(地史)を読みとる基本的な方法。

  地層は下から上へ堆積してゆくので、上にある地層ほど新しい時代にできたことになります。また地層が侵食により削られ断ち切られたところに別の地層が堆積していれば、地層の新旧を決めることができます。このような観点で断面図を見ると、まず一番下にある成田層が最初に堆積したことが分かります。次に成田層が侵食されV字形の谷地形が刻まれた時代があったことが分かります。最後に、このV字谷を埋めるように沖積層*1が堆積した時代があり、そこが現在低地になっていることが分かります。つまり、この断面図から現在を含めて4つの時代が区別できます。さらに地層に埋もれていた貝化石からそれぞれの時代や環境を推定することができます。これらを次のようなシナリオにまとめました。なお図だけからでは関東ローム層の堆積時期があいまいですが、これは成田層が侵食されてゆくのと同時期であることが分かっています。

海底に白っぽい砂の地層が堆積した(成田層)。
成田層が陸化(海面低下)し河川の侵食によりV字谷が刻まれた。
同時に火山灰が堆積した(関東ローム層)。
V字谷に海水が進入(海面上昇)し、底に泥の地層が堆積した(沖積層下部)。さらに埋め立てられ干潟〜湿地のような環境で泥が堆積した(上部)。
海面が少し低下し、沖積層が堆積する場がに陸になり、低地になった。

ABCDを通して見てみると、同じ場所で
1)海面が高いとき→海底になり地層が堆積
2)海面が低いとき→陸上になり侵食が進む
の相反する出来事が繰り返し起きたことが分かります。つまり台地と低地の生い立ちを左右した最も基本的なできごとは、海面の上下とそれに対応した堆積・侵食であったことが分かります。

関東平野の生い立ち
 実は関東平野全体が台地と低地からできています。また地下の地層の様子も関東平野全般に共通した特徴です。ですから上述したシナリオは関東平野全体の生い立ちを語っていることになります。シナリオABCDをもう一度、関東地方全体で描き直してみたのが図3です。


図3 関東平野の生い立ち

年代 海面 できごと
10万年前 上昇 関東平野は北〜西〜南と三方を山地・丘陵で囲まれた海だった。海底はお盆のように凹んだ形をしていて、周囲の河川から次々と砕屑物が流れ込んで堆積していたので、分厚い地層ができた(関東堆積盆)。
2万年前 100m以上も低下 それまでの海底が陸化し、河川が流れ侵食によりV字谷が刻まれた。
また富士山などの火山が噴火し、飛来した火山灰が堆積して関東ローム層になった。
6000年前
縄文時代
100m以上も上昇 再び海面が上昇してV字谷に海水が進入した。海水は内陸まで進入してリアス海岸ができた(縄文海進)。内湾や入江の底には泥が堆積し、やがて埋め立てられ干潟や湿地になった(沖積層)。
現在 数m低下 沖積層が干上がり低地になった。
一部は水が残り、湖沼(霞ヶ浦や印旛沼)となって現在に至る。

サブテーマ 関東地方の地形


【*1】 沖積層は、もともと河川堆積物を指しますが、ここでは河口近くの河川堆積物(主に三角州をなす堆積物)と縄文海進による内湾を埋めた堆積物の両者を合わせた意味に使います。河川堆積物がその延長上で内湾を埋め立ててゆくのですから、両者は連続しています。 


作成2001年5月 更新2003年4月