ホーム目次/第1章 身近な土地の生い立ち
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地面は何からできているか
 地面は何からできていますか? 最も素朴な答えは「土」でしょう。「泥」「砂」「石ころ」と答える人もいるかも知れません。土地の生い立ちを調べるために、地面そのものが何からできているか学びましょう。

 ものすごく大雑把に言うと、地球は巨大な岩石のかたまりです。岩石は実際には何種類かの物質からできています。このような岩石をつくる物質を鉱物と言います*1。岩石や鉱物は、日常では漠然と岩、石と呼ばれています。

岩石
rock
地球(惑星)をつくる固体の総称 マグマが固結した火成岩、地表でできた堆積岩、それらが再結晶した変成岩などがある。主にケイ素Siと酸素を主成分とする(ケイ酸塩)。金属鉄も地球(惑星)の重要な物質(中心核をなす)だが、岩石には含めない。
鉱物
mineral
岩石をつくる物質 地球(惑星)をつくる固体物質の基本単位。岩石はふつう数種類の鉱物が集まってできている。

 険しい山地に行けば、地球をつくる固い岩石が直接露出しているのを見ることができます。しかし私たちが暮らしている土地では、そのような固い岩石の地面を見ることはありません。固い岩石も長年、雨にうたれ風にさらされていると、その場で次第にひび割れて細かな岩屑になります。この過程を風化*2といいます。これらの岩屑が水(河川)や風に運ばれると、さらに細かく砕かれます。このようにしてできた岩屑を砕屑物と呼びます。私たちの多くが暮らす日本の平野は、このような砕屑物が堆積してできています。

表1 砕屑物の分類

分類 砕 屑 物 土(土壌)
礫(レキ)
粒子の直径 2mm以上 2mm〜1/16mm 1/16mm以下  
指でつまみ上げられるくらいか、それより大きい岩石のかけら。
大きさや形(丸まり具合)でさらに細分される。
指でざらざらと感じる大きさの岩石の粒 指では粒子であることを感じられないくらいの細かな岩石の粉。1/256mm以上をシルト、それ以下を粘土と呼ぶ。
 写真はシルト(写真では細かい砂のようにも見えますが、灰色の粉だと思ってください)。
砕屑物に、腐植が混ざったもの。腐植が多いと写真のように黒っぽく見える(黒土)。

 表1の一番左のような岩屑をレキと呼びますが、これを細かくすると2番目のになることがお分かりでしょう。さらに細かい粉にすると3番目のになります。つまり、レキも砂も泥も岩石のかけらという点では同じ物質であり、ただその大きさにより分類をしているわけです。レキ・砂・泥をまとめて砕屑物と言います。
 これらに対し「土」は別のものを指します。地表にはたいてい生物が生きていて、その遺骸(枯葉・枯枝や動物の死骸など)は、より小さな動物や微生物によって分解されていきます。こうしてできた分解物を腐植といいます。風化によりできた砂や泥に、この腐食が混ざったものが土です。土が広がっている場所を土壌といいます。一般に土(土壌)は腐植が多いほど黒っぽく見えます。砂漠や高山の岩山のようなところを除けば、地表にはたいてい土壌が広がっています。土壌にはもととなる砕屑物や気候などの違いに応じて、様々な種類があります*3
サブテーマ 地層と堆積岩

実習 砂を「ふるい」でふる、いろいろな砂を観察する

実習 花壇の黒土を焼く

台地をおおう関東ローム層
  台地の縁を見ると、関東ローム層(いわゆる赤土)が露出しています。関東ローム層は広く台地全体をおおっている地層です。関東ローム層の試料をよく水洗いして、中に含まれる鉱物を観察すると、それらは石英、長石、輝石、カンラン石、角セン石、磁鉄鉱などの結晶であることが分かります(写真1)。これらはいずれもマグマから生まれた鉱物の結晶であり、関東ローム層がマグマに由来することを示しています。
写真1 関東ローム中の鉱物

 実は関東ローム層は富士山の噴火による火山灰です。富士山などの火山の地下には、マグマがたまるところ(マグマだまり)があり、そこで成長していた鉱物の結晶が噴火によって火山灰(マグマが粉になったもの)とともに空気中に放り出されました。これが上空の偏西風に流されて、広く関東平野に降り積もりました。このような噴火が何回も繰り返されて、次第に厚さ数mの関東ローム層になりました。関東ローム層は主に富士山の火山灰ですが、それ以外にも箱根火山(神奈川県)や遠く姶良火山(鹿児島湾)から来たものも含まれています。
 台地の土壌(畑の黒土)は、この関東ローム層に腐植が混ざってできたものです。畑の黒土を強く熱すると、腐植が燃えてなくなり、もとの関東ローム(赤土)になります。
実習 関東ローム層中の鉱物


【*1】 岩石と鉱物については「第3章・鉱物と岩石」で詳しく学びます。

【*2】 固い岩石も昼夜の温度変化に応じて、ほんのわずかですが膨張・収縮します。これが原因で岩石にクラック(ひび割れ)が入ります。するとそこに水がしみ込み、夜には凍って膨張しクラックを押し拡げます。このようなことが長い年月繰り返されると、固い岩石も次第にひびだらけになり、細かな岩屑へと姿を変えます。このように温度変化による風化を特に物理的風化と言います。また石灰岩のように雨水(酸性)に溶けやすい岩石は化学的風化を被りやすく、カルスト地形や鍾乳洞など独特な地形を生じます。

【*3】 土壌には気候帯に応じていくつかの種類があります。日本のように気候が温帯・湿潤で生物が豊かな森林では、腐植に富んだ黒っぽい土壌(褐色森林土や黒ボク土)ができます。これが黒土です。ただし関東ローム層(火山灰)のように腐植が少ないと赤っぽい土壌になり、俗に赤土と呼ばれます。熱帯多雨気候では、雨水により多くの成分が溶脱して残った鉄・アルミニウム酸化物からなる、赤いやせた土壌(ラトゾル=ラテライト)ができます。


作成2001年5月 更新2003年4月